筋膜の異常
筋膜の異常は、筋膜の構成の異常によりネットワーク機能が失われ、筋膜の柔軟性や滑走性が低下した状態として捉えられます。
ネットワーク機能については下記をご確認下さい。
・構成の異常
構成の異常は筋膜を構成している線維、基質、細胞の異常により引き起こされます。
線維化:筋膜を構成している線維が増え、柔軟性が低下した状態です。筋膜に負担がかかることで、プレストレスとして線維を増やして対応することが原因となります。
基質のゲル化:筋膜はコロイドとして捉えることができ、ヒアルロン酸の自己会合や基質が脱水することによりゲル化を生じます。ゲル化した筋膜は筋膜の滑走性、柔軟性が低下します。
筋膜の緊張:筋膜は筋肉と同様に収縮することができます。交感神経が優位な状態や、pHが酸性に傾いた状態では、筋線維芽細胞が緊張し柔軟性が低下してしまいます。
・ネットワーク機能の異常
上記の構成の異常により、ネットワーク機能が機能していない状況と捉えます。
ネットワーク機能:筋膜系は、すべての臓器、筋肉、骨、および神経線維を取り囲み、それらの間を織り交ぜ、相互に浸透し、身体に機能的な構造を与え、すべての身体システムが統合された方法で機能することを可能にする環境を提供する.
※システムとは器官系のこと
筋膜は身体の動きに合わせて、神経や血管が適切に動くために必要な構造的な支持を提供しています。
ネットワーク機能に異常を起こすと、身体のシステム(器官系)が統合されていない状態となるため様々な器官系の異常が見られることになります。
・運動器系の異常:関節可動域制限、筋力低下
・神経系の異常では感覚障害や疼痛、異常感覚
・循環器系の異常:循環障害や浮腫
上記の状態は個々の器官系の異常と共に、筋膜の異常も見られていると捉えることができます。