「足関節の動きと外側側副靭帯」動きの制限は筋膜の協調性が原因かもしれません

足首の硬さや違和感の原因は、外側側副靭帯と筋膜の“協調性”にあるかもしれません。本記事では足関節の動きと靭帯・筋膜の関係、筋膜リリースによる改善方法、S.Iとの違いまで詳しく解説します。

「しゃがみにくい」「足首が詰まった感じがする」「足を捻りやすい」
そんなお悩みをお持ちの方へ。

足関節の動きに違和感があるとき、多くの方が筋力や骨のゆがみ、関節自体の硬さを疑いますが、実は「靭帯」と「筋膜」の協調性の問題が潜んでいることがあります。とくに今回は、足首の安定に深く関わる「外側側副靭帯」と、その動きを支える筋膜の関係に注目して解説します。


足部を支える「外側側副靭帯」とは?

足首(足関節)の外側には、**外側側副靭帯(Lateral Collateral Ligaments of the Ankle)**という3つの靭帯が存在します。これらは、足首の「内反(足裏が内側に向く動き)」を制限し、捻挫などのケガから足を守る働きを担っています。

具体的には以下の3つの靭帯から構成されています。

1. 前距腓靭帯(ATFL:Anterior Talofibular Ligament)

距骨と腓骨をつなぎ、足首の内反時に最も負担がかかりやすい靭帯。捻挫で最も損傷されやすい部位でもあります。

2. 踵腓靭帯(CFL:Calcaneofibular Ligament)

踵骨と腓骨をつなぎ、足首の横方向の安定性に関与。比較的損傷しにくいものの、慢性的な不安定感に関与します。

3. 後距腓靭帯(PTFL:Posterior Talofibular Ligament)

距骨の後方と腓骨をつなぎ、極端な外反や過度な底屈に対して足首を支える役割があります。

これらの靭帯は単独で働くのではなく、足関節の動きに合わせて「協調的」に伸び縮みしながら連携しています。


足首の背屈・底屈と靭帯の“動き”

足関節の「背屈(足首を上にそらす)」と「底屈(足首を下に伸ばす)」の際、外側側副靭帯は以下のように変化します。

  • 背屈時:前距腓靭帯が短くなり、後距腓靭帯が長くなる
  • 底屈時:前距腓靭帯が長くなり、後距腓靭帯が短くなる

つまり、足関節の正常な可動域を確保するには、これら靭帯が動きに合わせて“協調して伸び縮みする”ことが必須です。
この協調性が乱れると、足首の可動が制限されたり、動作中に違和感や不安定感が生じやすくなります。


協調性を乱す“見えない要因”──筋膜の機能低下

では、なぜ外側側副靭帯の協調運動が乱れるのでしょうか?

その大きな要因として、筋膜(fascia)の機能低下が挙げられます。
筋膜は、筋肉・靭帯・骨・内臓といった組織の間をつなぎ、滑走性を保ち、身体全体の動きの「協調性」を司る組織です。とくに足部のように細かな骨と靭帯が密集している部位では、筋膜の滑走性や水分状態が極めて重要です。

筋膜の機能が低下すると、以下のような問題が起きます:

  • 靭帯周囲の組織が硬くなり、動きが妨げられる
  • 筋膜の滑走が阻害され、靭帯の“自然な伸縮”ができなくなる
  • 外側側副靭帯全体の動きが制限され、足首の背屈・底屈が硬くなる

つまり、「足首の可動域が狭い」と感じるとき、関節そのものではなく、靭帯と筋膜の連携の悪さが原因のケースも少なくありません。


外側側副靭帯の協調性を取り戻すには?

制限の原因が筋膜の機能低下である場合、筋膜の再調整が必要となります。
このとき、私たちRolf-Conceptでは「痛くない筋膜リリース」を用いて、靭帯周囲の筋膜の滑走性を丁寧に改善していきます。

一般的な強い圧をかける筋膜リリースとは異なり、最小限の刺激で筋膜の粘弾性や水和作用を回復させる方法です。痛みがないため、身体が防御的に緊張することもなく、より自然な変化が期待できます。

とくに、前距腓靭帯〜踵腓靭帯〜後距腓靭帯を包む筋膜ラインへのアプローチを行うことで、足部の動きに対する靭帯の“協調性”が戻りやすくなります。


足部の動きに全身が関与する場合はStructural Integration(S.I)へ

もし足部の硬さや不安定感が長期的に続いており、姿勢や歩行パターン全体に影響している場合は、**Structural Integration(S.I)**による全身の構造再統合が有効です。

S.Iは筋膜ネットワークを通じて、身体全体の“構造の調和”を取り戻す手技であり、局所だけでなく「なぜ足首に負担が集中していたのか」という構造的背景にまでアプローチできます。

例えば、膝関節や股関節のアライメントの乱れ、体幹の重心のズレが足首に無理なストレスを与えているケースでは、S.Iによる全身統合のプロセスが必要となります。


まとめ|足首の問題を“構造”から見直す視点を

足首の硬さや違和感の背後には、外側側副靭帯と筋膜の協調性という“見えない機能”の問題が隠れていることがあります。

  • 靭帯は動かないものではなく、動きに合わせて“連動”しています
  • 筋膜の滑走性が損なわれると、その連動が阻害され、足関節の制限が出やすくなります
  • 局所の制限には「痛くない筋膜リリース」、構造全体の見直しには「Structural Integration(S.I)」が有効です

Rolf-Conceptでは、安心・安全に受けられる個別対応の施術を行っております。足首の悩みでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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