脳梗塞、脳出血の後遺症
脳梗塞、脳出血は、脳の血管が詰まったり、切れたりすることで起こります。
脳梗塞や脳出血を発症された多くの方が、手足の不自由さや強張りが後遺症として見られます。
こういった後遺症に対してStructural Integrationはとても効果的であり、
リハビリ病院で働いていた頃の患者様や、
現在訪問リハビリで担当させていただいている多くの方が症状の軽減を実感されています。
手足の不自由さに対して
一度脳梗塞や脳出血がおこると、脳全体の機能が一時的に停止します。
死滅してしまった脳細胞の機能は戻りませんが、損傷を受けていない部分は時間をかけて機能が回復してきます。
しかし、徐々に脳細胞の機能が回復してくるため、その間に関節が硬くなってしまうと物理的に動かせなくなってしまいます。
関節の硬さは、関節を取り囲む筋膜の硬さや捻じれが原因となっているため、
Structural Integrationで行われる筋膜リリースは効果的に関節の制限を取り除くことがでます。
また、長期間動かさないでいることで筋肉や皮膚からの感覚が入らなくなると、動かし方を忘れてしまい脳細胞が機能しているにも関わらず動かせなくなってしまいます。
1日でも動かさないでいると、脳の可塑性により運動をやり方を変えたり、忘れてしまいます。
http://www.comp.tmu.ac.jp/locomotion-lab/higuchi/therapist/info412_Meugnot2014.html
首都大学東京、知覚運動性制御研究室ロコモーション部門、樋口貴広先生の研究ホームページより
Structural Integrationの10回のセッションを通じて得られる感覚は、
全身の表層から深部までの感覚を得られ、また、10セッションを通じて本来の体幹の機能を使えるようになるため
不自由な手足を様々な状況に応じて効率的に動かすことができるようになります。
手足の強張りに対して(異常筋緊張)
脳梗塞や脳出血を発症後、痙性と呼ばれる筋肉の緊張が亢進している状態が見られます。
この状態は脳の損傷により見られるものですが、別の原因として関節を保護するために、また姿勢をコントロールするために筋肉の緊張が亢進してしまうことがあります。
関節の保護
関節は2つの部位が繋がってできているため、その繋がりを維持、または保護する必要があります。そのために、深部の細かい筋肉と表層の大きい筋肉が、状況や外力に合わせて協調させながら関節を維持、保護しています。
しかし、脳梗塞や脳出血発症直後は、関節をとりあえず維持、保護するために大きい筋肉の緊張を亢進させます。
脳の機能回復に伴って他の筋肉もつかえるようになりますが、その間に関節拘縮ができてしまったり、動かさないでいると筋肉や関節からの感覚入力が無くなってしまうため、他の筋肉が使える状態でも常に同じ筋肉を緊張される強張った手足になってします。
Structural Integrationでは、関節拘縮の原因となる筋膜に働きかけるため効率的に関節拘縮を改善できます。
また、10回のセッションを通じて体の表層から深部までの感覚を得られるため、脳が正常な関節の維持、保護のやり方を思い出し、手足の強張りを改善することができます。
姿勢のコントロール
脳梗塞や脳出血を発症すると、手足の麻痺だけでなく、姿勢コントロールも困難になります。
本来姿勢のコントロールは、体幹の筋肉を使って行われますが、脳梗塞を発症してしまうとバランスを取るために手や足を強張らせた代償的な姿勢のコントロールをしてしまいます。
Structural Integrationの10回のセッションから生まれる効率的な姿勢は、
本来の体幹の機能を使えるようになり、手足を強張らせる代償的な姿勢の保持を改善することができます。
まとめ
Structural Integrationでは筋膜に働きかけるため、関節の動きを効率的に改善できます。
また、普段の動きでは得られない感覚入力があり身体の位置関係の把握や適切な注意、予測を生み出すことができ、手足の不自由さや強張りを効率良く改善することができます。
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