
肩が挙がらなかったり、痛みが出てしまう原因は肩甲骨と上腕骨の関節(肩甲上腕関節)だけの問題ではありません。全身がタイミングよく動くことで肩は自由に動くことができます。
今回は痛みの原因や、肩を動かすために必要な全身の協調性について紹介したいと思います。
なんで肩が挙がらない? 痛みがでる?

腕を挙げた時、動いている関節は肩甲骨と上腕骨の関節(肩甲上腕関節)だけではなく、鎖骨(肩鎖関節、胸鎖関節)や肩甲骨(肩甲胸郭関節)、また脊柱の関節や肋骨が
タイミングよく協調的に動いてはじめて肩は頭の上まで挙がります。
そのためどれか一つの関節の動きが悪くなり、協調性が無くなると挙げるのが難しくなります。また、動きが悪くなった関節を補うために他の関節や筋肉に負担がかかり痛みがでてしまいます。

腕を前や外に動かす時に、上腕骨がまっすぐ動いているように見えますが、実際は骨同士がぶつからないように内側や外側に捻れながら動いています。
それをコントロールしているのがローテーターカフ(小円筋、肩甲下筋、棘上筋、棘下筋)と呼ばれる肩関節周囲の筋肉達です。
この筋肉達が働かないと骨同士がぶつかってしまったり、筋肉を挟んでしまい痛みや動きの制限になってしまいす。
肩甲骨と腕の動きの協調 肩甲上腕リズム

腕を外側に動かす際に、肩の関節(肩甲上腕関節)だけが動いているだけではありません。肩甲骨も一緒に動いており、肩甲骨と上腕骨が1:2の割合で動きます。
これを肩甲上腕リズムと言います。
上腕骨と肩甲骨の関節面は自由に動けるように他の関節に比べて小さくなっているため、関節面を安定させるために上腕骨の下に常に肩甲骨の関節面がいる必要があります。
そのためリズムが崩れるとうまく腕が上がらなかったり、痛みの原因になってしまいます。
鎖骨と腕の動きの協調
腕を前に上げる際に、肩甲骨と同様に鎖骨も一緒に動いています。
鎖骨は後方に捻れながら上に約20°動き、肩を安定させながら可動性を保っています。
そのため、鎖骨の動きが止まってしまうと腕の動ける範囲が少なくなってしまいます。
体幹と腕の動きの協調
あまり腕を頭の上まで挙げる機会は少ないと思いますが、腕を頭の上まで挙げるためには、体幹を伸展させる必要があります。
そのため、猫背の姿勢で手を上げても120〜150°が限界になります。
協調して動かなくなる原因は?

姿勢と肩甲骨の関係
肩周囲のレントゲンに異常が無い場合、多くの原因は姿勢にあります。
胸郭と肩甲骨の関係で、猫背の姿勢でいると肩甲骨が上方で固定されてしまい肩甲骨と上腕骨が本来のリズムで動くことができなくなってしまいます。鎖骨も本来の可動性が低下してしまい協調的に動くことができなくなるため可動域が低下してしまいます。
また、筋肉も筋肉の特性により本来の位置からずれてしまったり、長さが変わってしまうため力を発揮できなくなってしまいます。
そんな中で無理に肩を動かしてしまうと、一部の筋肉や関節に負担がかかってしまい痛みに繋がり、五十肩と言われる状態になってしまいます。
五十肩を改善させるには局所を見ることも大事ですが、姿勢といった全身からの繋がりを改善させていくことが本来の肩のリズムを作り出し、根本的な痛みや関節可動域の改善に繋がります。
姿勢は筋膜で決められてしまうため、効率的に姿勢を変えるにはStructural Integrationをお勧めします。
※画像はプロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 より引用